当科の特徴 消化器外科(お腹の外科:食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・直腸・肝臓・胆嚢・胆管・乳頭部・膵臓・脾臓・肛門・虫垂炎・腸閉塞・腹膜炎などの診断・治療・手術・腹腔鏡手術・抗がん剤治療)、乳腺外科(お乳の病気、特に乳がんの検診・診断・治療・手術・ホルモン治療や抗がん剤治療)、一般外科(成人ヘルニア:脱腸、などの治療・手術)の診療を行っています。 |
1)胃がん・大腸がんの治療 |
胃がん・大腸がん(直腸がんを含む)に対する手術は、はじめに内視鏡(胃や大腸カメラ)治療の可能性を内科と検討します。最近は内視鏡治療の幅が広がり、当院でも積極的に行っています。その後、毎週2回開く手術前の検討会で腹腔鏡手術の適応、手術方法や治療方針を議論して、ガイドラインに基づいた標準手術(行うべき手術方法)を的確に行っています。重症の術後合併症はありませんが、合併症発生をゼロに近づけるため、最新のデータを取り入れた術後管理や術式の工夫を続けています。また、手術後のQOL(生活の質)の維持・改善とともに、手術やがんに対するご不安を軽くできるよう、外来および病棟スタッフとともに努力しています。 |
2)腹腔鏡手術、内視鏡治療、胸腔鏡手術 |
腹腔鏡手術手術後の痛みが劇的に軽く、回復や食事再開も早くなり、その結果、入院期間も短縮できるため、体に優しい外科治療と言えます。胆石症では既に標準手術法となっており、急性胆嚢炎の方を含めて施行しており、今は胆石症の標準手術方法にしています。さらに、麻酔科・ペインクリニック科と相談して、背中にチューブを挿入する硬膜外麻酔をやめ、ペインクリックの方法で術後の痛みをおさえています。そのため、全身麻酔の前に局所麻酔で背中からチューブを挿入する不快がなくなりました。加えて、美容上(キズが目立たない)だけでなく、手術方法の工夫とペインクリニックの技法の併用で術後のキズの痛みが軽くなっています。さらに、急性虫垂炎にも腹腔鏡下虫垂切除術を行っています。
胃がん・大腸がんに対する腹腔鏡手術(腹腔鏡下胃切除術、腹腔鏡下結腸切除術)も行っており、2009年から積極的に取り組んできました。2011年4月からは適応を大幅に広げて、多くの方に安全確実な腹腔鏡手術が提供できるようになりました。胃がんや大腸がんの腹腔鏡手術では、開腹手術に比べて手術後のキズの痛みが軽いだけでなく、回復が劇的に早いため、術後早期からの食事再開が可能で、入院期間が短いのが特徴です。また、がんの手術の根治性(確実かつ厳密に切除する)が、開腹術と同等もしくは高くなっています。このことが、がんに対する手術で最も重要な点です。 なお当院では、2010年8月にハイビジョン腹腔鏡システムが導入されました。解像度の高い映像により、繊細かつ確実な手術が可能で、安全性も向上します。 胆管結石症の治療は内視鏡治療(胃カメラ)を行っており、手術せずに治療しています。
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3)胆道・膵臓の病気に対する診断・治療・手術とERCP |
肝・胆・膵の診断・治療特に胆道(胆管・胆嚢・乳頭部)と膵臓の病気に対する内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)、胆道膵臓の内視鏡治療を行っています(ERCP:内視鏡を使った胆道・膵臓の検査で、胆管・膵管へ細い管を挿入して胆管・膵管の精密なレントゲン写真を撮影-胆管膵管像-)。胆道や膵臓の病気は、超音波検査・CT・MRIでも診断が困難なことが多いため、ERCPによる詳細な胆管膵管像や細胞診などの精密検査を施行して、小さな病変や膵臓がん・胆道がんの早期発見に努めています。その結果、上皮内がんを含む小膵がん・早期胆管がん・早期胆嚢がんを診断して、手術で切除することができました。また、膵臓の切除手術は難度が高いのですが、安全かつ積極的に行っています。胆管結石症や閉塞性黄疸(胆管の閉塞が原因の黄疸)の治療は、ERCPを応用した内視鏡治療(胃カメラでの治療)を標準として、手術が不要となる方も増えています。経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD:超音波誘導でおなかの上から、胆管や胆嚢に管を直接に留置する方法)も行っています。おひとりおひとりの病気の状態に応じて、①手術・②内視鏡治療・③経皮経肝ドレナージの中から最も的確なものを選択しています。
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4)乳がん検診、診断、手術、治療(乳線外科に詳しくご説明しています) |
乳がんの診療は主に診断、化学療法を行っています。乳がん治療のガイドラインは進行度だけでなく、がん細胞の悪性度・リンパ節転移・ホルモン受容体・遺伝子情報などに対応する細やかなものです。このため、他のがんに比べると治療法の選択が豊富です。インターネットでも検索できますが、おひとりおひとりの治療法の決定には主治医との相談が重要です。気兼ねなくお尋ねください。また乳がんでは、乳がん検診が特に重要なため積極的に取り組んでおり、乳がん検診・精密検査実施機関に認定されています。(福岡県集団検診協議会乳がん検診部会精度管理委員会)。さらに、乳房撮影・診察に加えて、超音波検査やMRI、外来での吸引細胞診、針生検を行い、診断精度の向上を図っています。診察、乳房撮影、超音波検査、吸引細胞診は、予約なく1日で終了させることが可能です。 |
5)がんに対する化学療法(抗がん剤治療) |
胃がん、大腸がん、胆道がん、膵臓がん、乳がんなどの術後補助化学療法(切除後の抗がん剤による追加治療)はもちろんですが、切除できない方や再発した方に対する抗がん剤治療にも力を注いでいます。近年の抗がん剤治療の進歩は目を見張るものがあります。分子標的薬を含む新しい抗がん剤や新しい投与方法の開発により、治療効果が著しく改善して長期に生存される方が増えています。当科ではガイドラインにもとづきながら、最新の情報による方法を積極的に行っています。なお、放射線治療を必要とされる方やご希望になる方は、九州大学病院放射線科にご紹介しております。また、外来化学療法室の拡充と整備が終了し、少しですが快適な環境がご用意できました。治療を受けられる方の満足度が向上するように、病院全体で努力しています。 |
6)ヘルニア(脱腸)、急性虫垂炎、腸閉塞、消化管穿孔、その他 |
成人ヘルニア手術腹腔鏡下虫垂切除術・腸閉塞・消化管穿孔などの緊急手術にも対応しております。 |
7)セカンドオピニオン |
当科を受診された患者さんが他院でのセカンドオピニオンを希望された場合は、積極的に応じております。遠慮なくお申し出ください。また、当科ではセカンドオピニオン外来を開設していないため、通常の受診で対応させていただいております。ただし、前医での検査結果がないとセカンドオピニオンの意味がありません。主治医にご希望になって、ご持参いただくようにお願い申し上げます。 |
2)胆石(胆嚢の石)・胆管結石(胆管の石)に対する腹腔鏡手術と内視鏡治療 |
症状のある胆石は腹腔鏡で胆嚢を摘出するのが、標準治療法(行うべき治療法)です。重症急性胆嚢炎などで癒着が強いと、以前の様に大きく切開(開腹移行)せざるを得ないこともありますが、1%程度とまれです。実際、当科での開腹移行は急性胆嚢炎後の一部の方だけです。
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3)閉塞性黄疸(石、炎症、腫瘍で胆管がつまったことによる黄疸) |
胆管結石の内視鏡治療の方法を応用して、つまった胆管に内視鏡でステント(チューブ)を挿入して治す方法です。ただ、病状によっては、超音波で見ながらお腹の上から胆管にチューブを挿入する、経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD)がよいこともあります。体からチューブが出ますが、後で体に埋め込むことができます(内瘻化)。内視鏡治療、経皮経肝ドレナージは、どちらも手術せずに閉塞性黄疸が治せるため、現在の標準治療法です。このふたつの治療法の選択は、閉塞性黄疸の原因(腫瘍かどうか)と閉塞の位置、黄疸が治った後に必要な検査や治療は何か、手術が必要な病気かなどを総合的に判断して決定します。また、まれに手術で治すこともありますので、1)内視鏡治療、2)経皮経肝ドレナージ、3)手術の使い分けについては、主治医から充分に説明を受けてご判断されてください。 |
4)胃がん、大腸がんの内視鏡治療と腹腔鏡手術 |
以前は、早期がんも進行がんと同じ大きな手術が行われていました。今では、早期がんの一部は内視鏡(胃および大腸カメラ)よる切除だけで充分で、手術も必要としません(当院内科でも行っています)。これは、治療前の進行度診断(がんの進み具合)の精度が向上したことと、進行度にあわせた切除で充分であることがわかったためです。現在、内視鏡による切除の適応は拡大中です。当然、手術より内視鏡治療を希望される方が多いのですが、確立したデータ(ガイドラインなど)を主治医にお尋ねになって、冷静にご判断になることが重要です(早期がんは手術すれば完全に治る可能性が高い)。また、内視鏡切除後の病理の結果によっては、その後に手術が必要となることもあります(治療前の診断は100%ではない)。一方、腹腔鏡手術でも通常の開腹手術と同じ成績が得られることが明らかになり、多くの方に腹腔鏡手術をおすすめできるようになってきました。 特にがんに対する治療法の選択では、正しい理解に基づくご本人の意志や納得が最も重要です。ご自身のがんの進行度や、確実に治る可能性が高い方法と他の方法の違い(長所と短所)などを、主治医にお尋ねになり充分にお話し合いをされて下さい。ただ、体への負担がより少ない治療を求めるだけでなく、がんを確率高く治すという点が最も重要であることにくれぐれも留意されてください。納得がいかない時はガイドラインが参考になりますが、セカンドオピニオンが一助になることもあります。(一般用ガイドラインも販売されています)。
内視鏡治療や腹腔鏡手術には熟練が必要ですが、今回ご説明した治療方法は当院ですべて行っています。セカンドオピニオン外来は開設しておりませんが、通常の外来で対応しておりますので、ご相談だけの受診でも構いません。ただし、前医での検査結果がないとセカンドオピニオンの意味がありません。主治医にご希望になって、画像やデータをご持参いただけるようにお願い申し上げます。
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内視鏡治療や腹腔鏡手術には熟練が必要ですが、今回ご説明した治療方法は当院ですべて行っています。セカンドオピニオン外来は開設しておりませんが、通常の外来で対応しておりますので、ご相談だけの受診でも構いません。ただし、前医での検査結果がないとセカンドオピニオンの意味がありません。主治医にご希望になって、画像やデータをご持参いただけるようにお願い申し上げます。 |
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